ソレイマニ斬首、トランプの繁栄ヴィジョンが金正恩を窮地に追い込む

01.15.2020.

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In this June 30, 2019 file photo, U.S. President Donald Trump, left, meets with North Korean leader Kim Jong-Un at the North Korean side of the border at the village of Panmunjom in the Demilitarized Zone. / AP

Geostrategy-Direct / January 7, 2020

ドナルド・トランプ大統領は、まず最初に、若い独裁者とその側近に、繁栄した北朝鮮がどのように見えるかという希望的なビデオを見せ、そして最も最近では、米国大統領は斬首攻撃を命じることにも反対なわけではないことを金正恩主席に見せることで、北朝鮮の若い独裁者を窮地に追い込んだとアナリストは言う。

イランのコッズ部隊カセム・ソレイマニ司令官の殺害が、金正恩氏に米国がどのくらい武力を行使する意思があるかを再考させたに違いない、とアナリストは言う。

平壌が朝鮮半島の緊張を高めようとしている中、イランは米国の関心を北朝鮮からそらすことができると、元米韓連合軍司令部の米特殊部隊のデビッド・マクスウェル大佐は言う。

「制裁を解除してもらうために、米国や国際社会に対し大規模の情報誘導キャンペーンを実行しようとしているときに、キム氏はイランに関心が集中することをうれしく思わないだろう。」とマックスウェルは言った。

2018年6月にシンガポールで開催されたサミットで、トランプ氏はキム氏に、北朝鮮の繁栄を描いた4分間のビデオを見せた。それは平壌の当局者の期待を高めるのに役立った、とアナリストは言う。

「核の対決: 北朝鮮は世界を相手に戦う」の著者であるゴードン・チャンは 1月1日、ナショナル・インタレスト誌に、「現在、北朝鮮には特にドンジュという「金持ち」の中に、「金は王様」という「お金の文化」がある。キム氏は、父親の先軍政治 (Songun) という「軍事第一」政策を捨て、経済と軍事を二本柱で発展させる並進路線 (Byungjine Line) を選んで、物質的な繁栄への欲求を満たそうとした、そして2018年4月に並進路線を廃止して経済第一のアプローチにした。

先月の「ベルトを引き締めよ」というキム氏の呼びかけは、「尊厳」に関する彼の多くの督促の1つであったが、「多くの北朝鮮人民にとってはあまり評判は良くないようだ。特に、人々は弾道ミサイルと核兵器プログラムに政権のリソースのかなりの部分が注ぎ込まれることを知っているからだ」とチャンは記した。

マーク・エスパー国防長官は、必要であれば米国は北朝鮮に対して軍事的選択肢を用いることができると述べた。

「北朝鮮に関しては、韓半島の非核化を政治的に合意することが、最善の道だと思う」とエスパー氏はフォックス・ニュースとのインタビューで述べた。「しかし、そうは言ったが、軍事的観点からは、必要なら、今夜でも戦う準備は出来ている。」

キム氏の不安を増大させたのは、米国と韓国の特殊部隊が、平壌の高官を抹殺するのを目的にした北朝鮮の施設への襲撃の模擬訓練を行っている写真を国防省が公表したことだ。

「もしも [キム氏] がこのような [米国がイランの将軍を殺害] ことが彼に起こるかもしれないと思うか、あるいは、もしも彼の被害妄想がトランプが何らかの形で彼にメッセージを送っていると考えるかもしれないと推測するのは興味深いことだ。」とマックスウェルは言った。

キム氏は「戦略兵器開発プロジェクトを積極的に推進する」と誓った。北朝鮮が兵器を開発することを目指すのは、朝鮮半島への脅威を拡大させて、 制裁緩和を引き出すために、米国に対する影響力を高めるためと思われている。

キム氏が昨年2月にハノイ首脳会談でトランプ氏と会って以来、北朝鮮は米国が制裁を解除することを要求している。制裁の解除と引き換えに部分的な非核化、というキム氏の提案をトランプ氏が拒否したために、首脳会談は失敗した。

会談が行き詰まっている中、北朝鮮は5月以来、米国に制裁を解除するよう圧力をかけるために13回に渡ってミサイルテストを実施した。

金正恩は「いまやそこに全てを掛けている、そして、機知に富んだ気の変わりやすい米国の指導者の意のままにしている。それは致命的な誤りだ。」とチャンは指摘した。

キム氏は、先月下旬に「衝撃的な実践行動に移行する」と約束し、もはや実験の一時停止にたいする「公約」を尊重しないことを示唆し、「世界が新しい戦略兵器を目撃することを確証した。」 「超近代兵器システム」への言及もあった。

キム氏の威嚇は、4日間開催され12月31日に終了した労働党第7中央委員会の第5回全体会議で発表された。

「平壌は間違いなく、より断定的な段階に入りつつあり、全体的な状況を考えると、それは間違いなく政権にとって致命的な誤りであろう。政権が重大な誤りを犯す時は、政権内部でどこかがおかしくなっているに違いない。」とチャンは指摘した。

トランプ氏は、公海上で禁止されている北朝鮮の瀬取り、および米国本土で公然と行われている中国の銀行のマネーロンダリングの犯罪行為にスポットライトを当てないことにした、とチャンは指摘した。「その結果、キム氏は弾道ミサイルと核兵器を開発するための必要なすべての資金を手に入れており、そのため、その両方で急速な進歩を遂げている。」

チャンはさらに言った。「トランプ氏があれこれの譲歩を行っているが、キム氏は何も譲歩していない。これは、朝鮮民主主義人民共和国の外交に取っては最高の時期の一つに違いない。支配するグループが良い結果を得ているときは、注目度の高い脅迫でボートを揺らしてはならない。」

そして、チャンは続けた。「どうしてキム氏はそのような威嚇的なコメントをするのか? それは、彼が制裁の完全な撤廃を勝ち取ると、北朝鮮の国民と政権メンバー両方に繰り返し約束したからだ。」

民主主義防衛財団(The Foundation for Defense of Democracy) のマックスウェルが配布する電子メールで指摘したように、「尊厳」はキムの最近の発言の「キーワード」である。

朝鮮中央通信社公式概要によると、「経済の建設に有利な外部環境を早急に必要としているのは事実だが、輝かしい変革を期待して、これまで自分たちの人生と同じくらい価値あるものとして擁護してきた我々の尊厳を決して売ることはできない」とキム氏は述べたと言う。

キム氏は、昨年2月にハノイでのトランプ大統領との首脳会談を終えたが、制裁措置を軽減することができなかった。したがって、制裁を軽減できなかったため、キム氏は、自分自身を弱い立場に置くことになった。「制裁の軽減がキム氏にとってどれほど重要であったかを強調しすぎることはない」と、朝鮮半島で米陸軍にて5回の任務を務めたマックスウェルは書いた。「国民の利益や国民の福祉のためではなく、彼が制裁措置解除に対する期待を高めたにも関わらず、それを達成できなかったからである。繰り返すが、彼の個人的な尊厳が危機にひんしているのであり、彼の失敗は政権と彼自身に大きな負担となっている。」

チャン氏は、金正恩は「今は国民を結束させる必要があり、その為に威嚇をしなくてはならないのだろうが、そのような威嚇はアメリカ合衆国第45代大統領を怒らせるリスクがある」と結論付けた。