民主党の悪夢: 1972年の再来か?

03.06.2020.

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World Tribune / March 2, 2020

By ラリー・エルダー

リチャード・ニクソンが1972年に民主党対立候補、ジョージ・マクガバンに地滑り的大勝利をした後、ニューヨークの映画評論家ポーリーン・カエルは、「私はかなり特別な世界に生きている。私の知る限りニクソンに投票した人を1人しか知らない。ニクソンに投票した人達がどこにいるのか、私には全くわからない。彼らは私の理解の及ばない所にいる。しかし、自分が劇場にいるとき、時々彼らの存在を感じることがある」と語ったことがある。

少なくとも分別のある2020年の民主党員は、自分の理解の及ばないところにいる候補者の眺望に本格的なパニックに陥っている。それでは、彼らはどれくらい怯えているのだろうか?

民主党の候補者指名レースのトップを走るバーニー・サンダース上院議員の将来の展望について、民主党きっての戦略家ジェームズ・カービル (注:ビル・クリントン大統領を2期当選に導いた選挙参謀) は、「私は75歳だ。私は、なぜここでこんなことをやっているのか? それは、私は死ぬほど怖いからだ。ここでちょっとその意味を考えてみよう。サンダースの支持者たちは皆、(英国労働党のリーダー) ジェレミー・コービンの成功を願って写真を撮っている。私はその道を行きたくない!」と語った。

彼は、「今、我々はどうありたいのかを決めなくてはならない。イデオロギーの狂信者になりたいのか? それとも、多数党になるために、多数派的本能を持ちたいのか? 我々に必要なのはパワーだ、分かるか? これはつまりそういうことだ。パワーがなければあなたは何物でもない。ただ決まったことを話しているだけのことだ」と付け加えた。

カービルのような理性的な民主党戦略家は、2020年民主党指名レースをリードするサンダースをサポートする民主党員の数が世論調査で増えていること見て本格的なパニックに陥っている。民主党にとってもっと悪いことは、サンダースの支持者は彼の熱狂的な生粋の信者であるか、サンダースが選挙人制度では勝利できず、大敗北に直面しているとは信じていないか、あるいは彼の政策が促進されさえすれば、他のことは全く気にもしていないかのどれかということである。

トランプは共和党員の間で94%の支持率を享受しているが、民主党はバーニー・サンダース / エリザベス・ウォーレン等の極左と、いわゆる中道派に支持が分かれている。サンダースとウォーレンの2人によるアイオワ票の得票率は44%であった。しかし、ピート・ブティジェジ (Pete Buttigieg)、エイミー・クロブチャー (Amy Klobuchar)、ジョー・バイデン (Joe Biden) が獲得した得票率合計は54%に達した。同様に、ニューハンプシャー州では、ブティジェジ / クロブチャー / バイデンが53%、サンダース / ウォレンが35%の票を獲得した。ネバダ州のコーカスでは、サンダースはさらに票を伸ばし、47%近くの票を獲得したが、バイデン / ブッティジェッジ / クロブチャーの票の合計得票率は39%未満であった。バイデン / ブティジェッジ / クロブチャーがサンダースを、彼の多くのプログラムを実行するにはどれだけのお金がかかるかを気にも掛けない、いかれた社会主義者だと特徴づけた後でも、これらの有権者をサンダース支持に転換できたのは強運である。

民主党にとってさらに悪いことには、トランプ大統領が最高の支持率を享受していることである。最近のギャロップによれば、「ドナルド・トランプ大統領の支持率は49%に上昇し、2017年に就任して以来、ギャロップ調査での最高を記録した。…トランプ大統領の支持率の上昇は、共和党員と無党派の両方で高い評価を受けていることによるものである。共和党員による94%の支持率は、1月上旬から6パーセントポイント上昇し、熱烈な支持者の間では、過去の最高値よりも3ポイント支持率を伸ばしている。また無党派による42%の支持率は5ポイント上昇しており、他の3つの世論調査でも無党派グループで最高値を示している。民主党への支持率は10%からやや下がって7%」となっている。

元副大統領であり、かつての最有力候補であったジョー・バイデンは、来たるべきサウスカロライナの予備選挙で、彼の激しく揺れ動く選挙戦で好成績を得ることに賭けている。しかし、ジョー・バイデンの最有力候補としての位置は黒人支持者の上に築かれていたが、今やその黒人有権者の間の支持は大きく蝕まれている。

ファイブ・サーティエイト(FiveThirtyEight)は、「全国的な世論調査の平均では、黒人有権者間のバイデンの支持は、アイオワのコーカサス以前からニューハンプシャー後までの間に約12ポイント低下した。逆に、同じ時期に、ブルームバーグとサンダース…はそれぞれ黒人有権者の間での支持の10ポイントを獲得した。また、最近の世論調査では、バイデンがすべての有権者の間で急速に落ちている一方で、サンダースとブルームバーグは着実に支持を伸ばしている」と書いている。

今やバイデンは歩く死人のようである。彼は混乱してしどろもどろしているように見える。最近のサウスカロライナ州の朝食スピーチで、バイデンは、「私の名前はジョー・バイデンです。私は合衆国上院の民主党の候補です。私をよく見てください。あなたが見て気に入ったら、助けてください。そうでなければ、もう1人のバイデンに投票してください。見てくださいね、いいですか?」と話した。上院、、? もう1人のバイデン、、?  上院において、南アフリカの投獄されていたネルソンマンデラを訪問しようとしたため逮捕されたというバイデンの最近の主張に対して、ワシントンポストは彼に与えうる最悪の評価である4つ星のピノキオ賞 (*大ウソつき賞) を授与した。バイデンはまた、マンデラが解放されて自由になったとき、マンデラはバイデンが自分を訪問しようとした努力に感謝したと言ったが、どちらの主張にも全く証拠がない。

バイデンの論点はいつも「アメリカ大統領本選で当選する可能性」であったが、彼はまだ自分の党の党員集会や予備選挙にも勝つことができていない。

小さな町の市長としての彼の乏しい経歴は別にしても、アメリカ人の3分の1は同性愛者の結婚を認めておらず、ブティジェッジの指名の可能性はありそうにない。

マイク・ブルームバーグは、億万長者を嫌悪する民主党員が大半の民主党の中で「金に物を言わせてレースに参入した」後発者は、どんなことがあっても、候補として勝ち残ることはないであろう。

そうすると、エイミー・クロブチャーが、民主党の最後の中道派候補者として残ることになが、パッションは急上昇するバーニー・サンダースと共にあり、この時点での情熱は、11月の共和党が1972年の共和党のようであるかのように見える。

追記: by Liberty Metron Staff

このラリーエルダー氏の記事は3月3日火曜日に14州と米国領サモアで行われた、スーパーチューズデーの予備選以前に書かれたものである。

その後、この記事でも紹介されている、”It’s the economy, stupid”(日本語訳:経済こそが重要なのだ、愚か者)というスローガンで、1992年に2期目に出馬した、ジョージH.W.ブッシュ大統領を破って、就任したビル・クリントン大統領当選の立役者として選挙参謀を務めた民主党重鎮ジェームズ・カービルの警鐘が、民主党が突然目を覚したかのように、3月3日のスーパーチューズデーの2日前に、まず、ピート・ブティジェッジ候補が、そしてその翌日クロブチャー候補、そしてステイヤー候補も歩調を合わせて次々に予備選離脱を表明し、ブティジェッジ候補とクロブチャー候補は即刻バイデン候補をサポートすることを表明し、スーパーチューズデーを迎えたことで、戦局は、ブティジェジ / クロブチャー / バイデン vs. サンダース / ウォーレンから、急変しバイデン(中道左派)vs. サンダース(社会主義者)vs. ウォーレン(極左)の三つ巴になった。

結果、スーパーチューズデーは、ブッティジェッジ / クロブチャーの中道及び中道左派票がバイデンに流れ、極左票がサンダースとウォーレンに割れたことで、極左勢力が強いミネソタ州、マサチューセッツ州、メイン州の3州の票が中道左派統一候補のバイデン集中した結果、サウスキャロライナ州までは、民主党内でも比較的極左勢力の強い、アイオワ州、ニューハンプシャー州で上位3位にも入れず大敗し、泡沫候補化していたバイデン候補が蓋を開けてみれば選挙人の数で、バーニーサンダースの573を大きく上回る664を得票し大きく躍進する結果となった。

エリザベス・ウォーレン候補が、ブティジェッジ候補やクロブチャー候補のようにスーパーチューズデーの結果を待たずに予備選離脱し、思想的に同陣営のサンダースのサポートに回っていたとすれば、スーパーチューズデーの戦局も変わっていた可能性もあろうが、サンダースはここで首位をバイデンに譲ることになった。

スーパーチューズデーの敗北を受けて、ブルーンバーグは予備選離脱を表明しバイデン候補を応援することを明言したが、ウォーレンも予備選離脱を表明したものの、誰をサポートするかは敢えて明言していない。

スーパーチューズデーを終え、今後民主党予備選の戦局が バイデン(中道左派、民主党エスタブリッシュメント) vs. バーニー(極左、社会主義者)に集約されることになるが、だからと言って、エルダー氏の語る「民主党の悪夢: 1972年の再来か?」の様相に変化は今も生じていない。